2009年12月25日(Fri) ありがとう位なら言えたはず。
12月のはじめにMattと一緒にGuam旅行をした時に,私の兄の武先生も一緒でした。4日間の短い旅でしたが,安ホテルで同じ部屋に一緒に寝泊まりし,毎晩お酒を飲みながら話をしているうちにMattに対しても武先生と同様に,まるで家族か兄弟のように感じるまで仲良くなりました。Mattも同じように感じていたのか,突然帰りの空港の待合室で“今から三人で手を重ね合わせてFamily と叫ぼう!”と言いだしました。場所が場所だけにとても恥ずかしかったのですが,少し酔っていたのも手伝って何度も三人で手を取り合って“Family! Family! ” と大声を張り上げてしまいました。
その直後にMattが“英保先生は御両親に「愛している」と言っていますか?”と言ってきました。“Matt,日本人は親に「愛している」とはさすがに言えないよ。”というと,“恥ずかしくても口に出して「愛している」と言わないとダメです。”と言います。“いくらMattのアドバイスでも親に面と向かって「愛している」とは言えないなあ・・・。せめてお土産で思いを伝えるか。”と思い,買うつもりが無かった両親へのお土産,しかもハート型の箱に入った(恥ずかしい!!)Godiva のチョコレートを父と母にそれぞれ一つずつ奮発しました。
その翌週の土曜日,両親を三田屋の桑名正博のディナーショーに招待していたので,その時にかのハート型のチョコレートを渡しました。“これ,グアムのお土産。一つずつ。(Matt は「愛している」と言えなんて言っていたけど,親に向かってそんな事言えるかいな)”ディナーショーが終わって,“三田に泊まって帰ったら?”と私。“明日ゴルフがあるから帰るわ。正月には早目に帰ってこい。一緒に飲もう。”と父。これが私と父の最後の会話になろうとは思いもしませんでした。
それからわずか6日後の金曜日の夜,あの元気だった父が突然吐血し,私が駆け付けた時にはいくら揺り動かそうが,声を掛けようが,起きてもくれないし,返事もしてくれないようになってしまっていました。
あの時,恥ずかしくて「愛している」とは言えなかったけど,「ありがとう」くらいなら言えたはず。冷たくなってしまった父の手をとって,繰り返し「ありがとう」と言ったけど・・・。