2006年9月28日(Thu) 本当の審美歯科とは?

 たくさんの美容整形外科が毎日のように新聞の折り込み広告を出しており、まるで女性の夢をいとも簡単にかなえられるが如く素晴らしい謳い文句が並んでいます。我々の関係するお口のまわりの手術についても、上あごや下あごの骨を切ったり削ったりすれば、いかにも簡単に美しくなれる様に掲載されており、歯の治療に関しても、芸能人が“私もここの審美歯科で治療を受けました。”と推薦しているような広告もあります。先日も同じように新聞の折り込みにある美容クリニックの広告が入っていました。このクリニックは他の美容整形外科とは異質のようで、派手な謳い文句のかわりに先生のお考えが解りやすく記載されていました。“明日泳ぎに行くので今日脂肪吸引をしてくれと言う患者さんがおられますが・・・。”とか“豊胸術で一番大事なことは中に入れたものがイザという時に安全に取り出せるかという事です。”といったような文章で、派手ではないが本当に患者さんの事を考えられている先生の思いが伝わってきました。

 審美歯科やインプラント治療、あるいは成人矯正に関しても色々な広告が出ており、“一日できれいな歯並びに”とか“インプラント永久保証”“格安インプラント”“歯を抜かない矯正”などと魅力的な謳い文句が並んでいます。インプラントはここ10年で安全性が確立され急速に広がった治療方法で、我が一族では父の代から歯科医療を行っていますが、父や兄弟との議論でもインプラントは歯科の治療に革命を起こしたと言って良いほど素晴らしい治療方法ではないかという確信が高まってきています。最近は3Mix-MP療法もインプラント同様に革命的な治療方法ではなかろうかと感じてきています。しかし歴史がさほど深くない治療法に対して“一生保証”や“永久保証”といった事が可能なのでしょうか?歯並びを一日できれいにしますという事は悪い場所にある歯を抜いて周りの歯の神経を取り、きれいに並んだセラミックの歯をかぶせるような方法です。矯正に関しても過去何十年の間に歯を抜くか抜かないかの論争が繰り返されておりいまだ結論が出ていない状況です。“100%歯を抜かずに治せる”かどうかは、現時点では結論が出ていないはずです。

 私の審美歯科、インプラント、矯正に対するスタンスは前述の美容クリニックの先生の考え方に似ています。患者さんの一生を考え、今一瞬の美しさだけに目を奪われるのではなく、先々で困ったり後悔したりする様な事がないような治療のオプションをご提案するように心がけています。芸能人は今一瞬の美しさが大切ですが、一般人は多禍無く生涯幸せに暮らせる事が大切だと考えています。そのためには極端に歯を削ったり過度な手術を行ったりするような行き過ぎた治療は控え、最小限の侵襲(MI)で治療が行われるべきだと考えています。

 審美歯科 ( Esthetic Dentistry ) の語源は倫理 ( Ethics ) からきています。倫理観の無い審美治療は審美歯科ではなく美容歯科 ( Cosmetic Dentistry ) なのです。

2006年9月 バックナンバー